PDCAに代わる管理手法として、最近OODAが注目されています。OODAの中で特に重要なステップがセンスメイキングです。センスメイキングの難しさや取り組む上でのアドバイスをまとめました。

OODAとは

OODAとは、アメリカ空軍のジョン・ボイド大佐によって提唱された、意思決定の手法です。
Observe(観察)・Orient(情勢判断)・Decide(意思決定)・Act(行動)の4つのステップを繰り返すので、各ステップの頭文字をとってOODAと命名されました。
OODAは、想定外の出来事が頻繁に起こることを前提としており、状況をよく観察することで適切な意思決定を行なうことを重視する手法だと私は考えています。
この点が、変化のスピードが速い時代に合っているのではないでしょうか。

 

OODAの肝はセンスメイキング

OODAの4つのステップの中で、Observe(観察)とOrient(情勢判断)の2つをまとめてセンセメイキングと呼びます。
このセンスメイキングが、OODAの一番の肝になります。
センスメイキングの重要性は、OODAの生い立ちを知ると理解しやすいと思います。

OODAが生まれるきっかけは、朝鮮戦争の空中戦の戦果にありました。
当時のアメリカ軍の戦闘機はF-86、対するソ連軍の戦闘機はMiG-15でした。
その2つの戦闘機の性能を比較すると、加速・上昇・旋回性能のいずれにおいても、ソ連軍のMiG-15の方が、アメリカ軍のF-86を上回っていました。

ところが、実際の空中戦の結果は、この性能の優劣とまったく逆の結果が出ていたのです。
性能の劣っているアメリカ軍のF-86の方が、MiG-15に圧勝していました。
撃墜対被撃墜の比率は、ほぼ1対10に達したそうです。
アメリカ軍の戦闘機が1機当たり敵機を10機撃墜したことになります。
性能の劣った戦闘機の方が、圧倒的に勝ったわけです。

当然、アメリカ空軍は原因究明を行ないましたが、彼らが断定した決定的な勝因は「戦闘機の窓」でした。
アメリカ軍のF-86の方が窓が大きく、視界が良好であったため、いち早く敵機の状況を把握でき、適切な意思決定を迅速にできたことが勝因だという結論を出しました。

このように、相手よりもよく見ること、そして情勢を適切に判断することが勝利に大きく影響したことから、OODAにおいては、Observe(観察)とOrient(情勢判断)の2つから成るセンスメイキングを重視しています。

センスメイキングの難しさ

しかし、実際にビジネスの中でセンスメイキングをやってみると、その難しさを味わうことになります。

例えば私の場合、WEBコンサルティングという仕事をしているので、お客様に依頼されて提案書を作成することがよくあります。
大半のホームページではアクセス解析が設置されていますので、そのデータと実際のホームページを確認して、現在の状況を判断し、取るべきアクションを提案します。
OODAの中の、Observe(観察)とOrient(情勢判断)をやることになります。
その中で一番苦労するのが、状況を判断することです。

センスメイキングとは、意味を与えるという意味ですが、細かい膨大なデータを観察して、要はどういうことが起きているのかを解き明かす作業が一番骨が折れます。
逆に、何が原因でどういう問題が起きているかのメカニズムがわかると、その解決策を立案するのは、それほど大変な作業ではありません。

一般的なホームページの場合、数十〜数百のページがあり、ページごとにユーザー数・閲覧数・閲覧時間・流入数・流出数・遷移前ページ・遷移後ページなど様々な項目のデータがあるので、数百から数千の項目に分かれたデータの山に向き合うことになります。
そのデータの山を観察しながら、要はどういう問題が生じているのか、問題を引き起こしている真の問題は何なのかといったことを見極めていきます。
中には、どの問題の原因が他のどの問題で、そのまた原因が別の問題でということがいくつもいくつも絡み合っていて、要はこういうことだと見極めをつけるのに大変苦労ことも多いのです。

一度は細かく分けてアナライズ(分析)されたものを、最終的には「要はこういうことです」とシンセシス(綜合)するのですが、情勢判断をまとめ上げる作業が一番の難所です。
どんなビジネスでも、結果として出ている数字の裏には様々な要因が絡み合っており、現状の意味を解き明かすセンスメイキングは、大変面倒な作業になるはずです。

また、センスメイキングを早くできるようになるには、良い仮説を立てることが重要だと感じています。
ある程度観察を終えたら、自分なりに仮説を立て、仮説が正しいかどうかをまたデータによって検証します。
仮説なので、執着してはいけません。
あくまでも、正しくても誤りでもどちらでも構わないと考えます。
たとえ誤りであっても、一番考えられるストーリーが排除できたのならば、それはそれで一歩前進には違いありません。

センスメイキングに望む態度

もう一つ、まったく違う面でのセンスメイキングの難しさがあります。
それは、センスメイキングの出来不出来に自分のメンタルの状態が大きく影響することです。
心が落ち着いていなければ、情勢を見極めるという作業はできません。
何かに執着していたり、多くの雑念が心にあると、見えるはずのものが見えなくなります。

私は、仏教で言う「念」の状態がセンスメイキングには理想だと思います。
対象に、善悪や好悪の感情を加えず、執着もせず、ただあるがままに見るというのが「念」です。
感情の波が立ってしまうと、見えるものが見えなくなってしまうと感じます。

OODAに取り組む意義は大きい

しかし、いろいろ難しさはあっても、OODAのもたらす、人よりも早く適切に判断して行動できるという価値はとても大きいと思います。
変化を観察し、迅速に状況を判断し、人よりも一歩早く適切な行動を取れるとしたら、それは素晴らしいビジネスの武器になります。
変化の激しい時代に、勝ち残ることができます。
そして、それができるかどうかは、会社の大小など関係ありません。
スモールビジネスであっても、何のハンディもありません。
真剣に取り組むかどうかだけが、人よりも一歩早く適切な行動を取れるかどうかを決めます。