「インターネットでの集客を増やしたい」、「検索上位に出るようにしたい」という声は多く、集客アップこそ成功への道と考える方は多いようです。
ほんとうに集客力アップは、ホームページの成功を約束してくれるでしょうか。
実際のホームページの成功例と失敗例を見ながら、ホームページの成功・失敗と集客との関係を考えてみます。

インターネットで集客力のあるホームページの失敗例

ホームページの集客の成功例と失敗例

実際の事例のお話です。
地方にある注文住宅を中心とした工務店様からホームページのご相談を受けたことがありました。
月間のアクセス数が3000件程度ありましたので、集客の面では、中小企業のホームページとしては、非常に健闘されている方だと思います。
しかし、実際の問合せがまったくないので、もっと集客を増やしたいというご相談でした。

商用ホームページの反応率(コンバージョン率)の合格ラインは1%とよく言われます。
この会社の場合、月間のアクセス数が3000件あるので、ホームページの内容が良ければ30件の問合せを期待できます。
内容が悪く反応がその10分の1だとしても、3件の問合せはあるはずです。
しかし、そのホームページの問合せ件数は、毎月ほぼ0件でした。

しかし、ホームページを見ると、そこまで反応が悪くなるような内容ではありません。
そこでアクセス解析を見せていただき、何が原因で問合せが来ないのかを調べてみました。
ホームページの反応が悪い場合、「コンテンツ(内容)が悪い」・「ユーザビリティが悪い(使いにくい)」・「集客の質が悪い」という3つの原因が考えられます。
「コンテンツ(内容)が悪い」あるいは「ユーザビリティが悪い(使いにくい)」ということが原因でここまで反響がないとは、ホームページからは考えられません。
そこで、集客の質について、調べてみました。

訪問の大半は検索エンジンから流入しており、訪問が発生した検索キーワードの中でかなりの部分を、「上棟式」に関連したキーワードが占めていました。
グーグルのデータを見ると、「上棟式」だけでも数万件の検索があるので、関連キーワードを含めると、10万件以上の検索が行なわれています。
集客の見込めるビッグキーワードで検索結果の上位に表示されており、そのため多くの訪問を獲得していました。

上棟式とは、建前や棟上げとも言いますが、家を建築する際に、柱・棟・梁など基本構造が完成した時に、屋根からお金や餅をまく儀式です。
私も子どもの頃は、上棟式でまかれた餅やお金を拾うのは楽しみでした。

では、「上棟式」という検索キーワードの何がいけなかったのでしょうか。
「上棟式」という言葉を検索している人を考えると、「上棟式とは何だろうか?」、「上棟式はやらなければいけないのか?」、「上棟式にはどういった準備が要るのか?」、「祝儀はどうすればいいのか?」といったことを知りたくて検索していると思われます。
こういうことを知りたい人は、どういう状況の人でしょうか?
おそらく、家を建てることが決まった人や家を建て始めた人が大半ではないかと思います。
この会社は、注文住宅の会社ですから、いくらホームページに集客できても、誰に家を建ててもらうか既に決めた人や、家を建て始めている人はお客様にはなりません。
見込み客と無関係な人ばかり集めていては、いくら集客できるホームページだからといっても、問合せや注文を獲得することができないわけです。

お話を伺うと、 ホームページ制作会社のアドバイスで、集客ツールとして、ホームページの中に建築関係の用語集を作成されたそうです。
かなり時間をかけ苦労しながら作った用語集によって、ホームページの集客は増えました。
最初のうちは、集客が増えたことに喜んでいたそうですが、以前の何倍かに集客が増えたのに、何カ月経っても問合せが増えません。
困ってしまって、たまたま見つけた、ホームページ無料診断を利用されたそうです。

マーケティングでは、どういう人を集客するかを考えることは基本的なことです。
しかしインターネットになると、なぜだか、このようにどういった人を集客するかをよく考えずに集客しているケースは多くあります。

別なリフォーム会社では、社長さんがインターネットに非常に熱心で、毎日ブログを書き続け、既に膨大なページ数のブログが、会社のホームページの中に存在していました。
そのため、ホームページにはブログを中心に、月間5000件以上のアクセスを獲得している状況でした。
しかし、ブログに書いている内容はリフォームに関連したものではなく、日々感じたことや季節の話題、大きなニュースといった多種多様な内容でしたので、ありとあらゆる種類の検索キーワードでの訪問はありましたが、リフォーム関連の検索キーワードでの訪問は、わずかしかない状況でした。
見込み客以外の方をたくさん集客しているため、やはり問合せを獲得するのは難しいホームページになっていました。

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アクセス数が少ないホームページの成功例

また、まったく逆のケースもあります。
東京都内にある小さな個人経営の歯科医院のホームページでは、月100件程度のアクセス数しかありませんでした。
それなのに、月に20件ほどの問合せや新規の来院を獲得していました。
反応率(コンバージョン率)は20%ということになります。
これは驚異的な高さです。

この歯科医院の場合、ホームページの内容の良さだけでこんなに高くなっているわけではありません。
集客の質を高めるための、ちょっとした取り組みに秘密がありました。

この歯科医院のホームページの制作と集客の質を高めるためのアドバイスは弊社で行ないました。
制作に入る前に、院長先生のご要望もあり、私自身が2時間ほど診察室に滞在して、先生と患者さんとのやり取りをそばで聞いていました。
会話を聞いていると、事前に治療に関する説明を行ない、その説明は大変わかりやすく丁寧なものでした。
また、患者さんの不安や疑問に対する心配りも感じられ、極力患者さんの心配をなくすよう気を使っていました。
そういう応対をしているために、患者さんからの信頼も厚く、非常に良い関係を築けていることが伝わってきました。

その医院では、治療が完了した患者さんへ、歯のお手入れに関するアドバイスなどをまとめたちょっとしたレターみたいなものを渡していました。
そこで、その中で、他の患者さんのために治療の感想を口コミサイトに書いてもらうことをお願いするということを提案しました。
その時点では、どれくらい効果があるかは自信がありませんでした。
ただし、歯科医院の場合、周辺1~2キロに住んでいるか勤めている人が対象ですので、該当する人をホームページへ集客することはかなり難しいことです。
また歯科医院は、大きな駅の近くでもありませんでした。
そしてホームページ自体も、数ページの非常に小規模なホームページでしたので、SEOの効果もそれほど大きな効果は期待できませんでした。
このように集客については苦しい状況が重なっていたため、口コミサイトの積極活用を提案したわけです。

その結果、ホームページへは月に100件ほどのアクセスでしたが、新規の患者さんは月に20人近く増えるという期待を大幅に上回る成果が出ました。
口コミサイトから流入してくる訪問者の方は、このエリアの歯科医院を探している人なので、どんぴしゃりのターゲットです。
しかも口コミ自体が良い感想ばかりですので、この歯科医院に好印象を既に持っている方がホームページにアクセスしてくれたわけです。
このように、集客の質が非常に高かったために、期待以上の成果が生まれました。

口コミを積極的に利用する方法は、歯科医院でなくとも応用できます。
小さなエリアが対象になるビジネス、例えば、飲食店や美容室、不動産屋など、様々な業種で応用できるのではないでしょうか。

コンバージョンの数や率はアクセス数では決まらない

ご紹介した成功例と失敗例の成否を分けたもの、それは「集客の質」です。
問合せ件数や注文件数といったコンバージョン数は、単純にアクセス数で決まるわけではありません。
コンテンツ(内容)が良ければ反応率(コンバージョン率)は上がります。
また、集客の質が良くても、同様に反応率は上がります。
逆に、集客の質が悪いと、反応率は悪化します。
一度、会社やお店のホームページの集客の質を確認してみることをおすすめします。

グーグルがSSL化したため、現在ではアクセス解析で検索キーワードを見ることはできません。
しかし、グーグルのサーチコンソール(旧ウェブマスターツール)の「検索トラフィック」の中の「検索アナリティクス」の項目で、どういう検索キーワードでアクセスが発生しているかを見ることができます。
訪問を生んだ検索キーワードを見れば、どのような人々がホームページを訪問しているのかを想定できます。
また、ランディングページ(入口ページ)の傾向を見ても、ある程度何に関心のある人が訪問しているか想定できます。

コンバージョンを増やす集客方法は?

問合せや注文といったコンバージョンを増やすには、数字だけを追う単純なアクセスアップでは役に立ちません。数だけにこだわると、無駄な集客になります。
お客様になる可能性のある人、可能性の高い人を集客するという、集客の質も重要です。
この点は、ブログの集客でも、フェイスブックやツィッターのようなSNSの集客でも同じです。

本当の集客力アップとは、質も含めたものです。
一般的には、検索エンジンが集客の中心ですので、検索エンジンからターゲットの見込み客をどう集客するかが課題になります。
また、今後はAI(人工知能)がますます検索エンジンに採用され、ページの内容の品質が検索順位に及ぼす影響が大きくなります。
検索ユーザーにとって価値のあるページを上位にするというグーグルの方針は、終始一貫変わりません。
したがって、AIが進化すればするほど、ページの内容に価値があるかどうかを見極めようとするでしょう。

今まで、ターゲットユーザーを集客する方法は、「キーワード」を中心にしたものでした。
ページのタイトルや見出しタグに順位を上げたいキーワードを入れる、ページの中でキーワードが適切な比率で出現するよう調整する、リンクされているアンカーテキストに入れるなど、キーワードに合わせてホームページを調整していました。

現在では、「検索意図」ということが重視されています。
検索ユーザーが、どういう目的で検索を行なったのかを理解し、それに応えるページを作れば評価されます。
言い換えれば、検索ユーザーが何を知りたいかを理解し、そのニーズに対して十分な情報を提供すれば、評価されるということです。
キーワードに対する最適化ではなく、検索する人のニーズを満たしているかどうかで評価されます。

コンバージョンを増やすには、見込み客を狙って集客できれば効果があります。
そのためには、見込み客であり検索ユーザーである人が、高く評価する内容を作成することです。
キーワードに合わせた適当な内容を作るのではなく、そのキーワードで検索する見込み客の姿をイメージしましょう。
問合せや注文をしてくれる人はどういう人なのか、その人はどんな状況にあるのか、その人は何を求めているのか、その人の潜在的な欲求は何かといったことを考えましょう。
それらのポイントを押さえた上で、きちんと応える内容を発信できれば、ターゲットの見込み客を集客できます。

例えばこのページは、ホームページの集客方法を知りたい人を対象にしています。
その人は、会社やお店のホームページに関わっているが、ホームページの集客がうまくいってない状況の人です。
そして、その人の表面的なニーズは、ホームページの集客を増やすことですが、潜在的な欲求としては、それによって会社やお店の売上や利益が拡大し、関わっている人たちが幸せになることです。
そういう人たちに向けて、関心のありそうな集客の成功例や失敗例を紹介したり、自分のホームページの集客の質のチェックをすすめたり、集客の質を高めるホームページ作成方法をアドバイスしたりという情報を発信しています。
読んだ人に、読んで良かったと感じてもらえるページにしたいと思い作っています。

まとめ

問合せや注文を増やす集客方法をテーマに書きましたが、最後にポイントをまとめます。

  • 実際の事例で紹介したように、集客数だけ考えて集客すると、間違った集客をすることがある。
  • 問合せや注文といったコンバージョンを増やすには、集客の質を意識すること。
  • 地域密着のビジネスであれば、口コミサイトからの集客は優良顧客。積極的に活用する価値あり。
  • 検索エンジンから見込み客を集客するには、キーワードに対する最適化でなく、検索ユーザーのニーズに応えることを考える。
  • 具体的には、どんな人? どんな状況? ニーズは何? 潜在的な欲求は?
  • それらを踏まえて、表面的なニーズと潜在的な欲求に応えるページを作成する。

これらの作業を行なうことは大変なことだと思います。
しかし、今後は小手先のテクニックのSEOの効果は期待できません。
集客をするためにも、良い反応を獲得するためにも、質の高い情報を発信することが必要です。
検索エンジンはどんどん進化し、人間と同じレベルで、内容の良し悪しを判断できる時代がすぐそこまで迫っています。

 

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